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10月3日「新釈 落語話」 金岡修平

どうも。
新ゼミ長の金岡です。

先輩方の過去記事をあまり見ずに書いたので。

雰囲気がかなり違う気もいたしますが。




僕の好きな落語の一席に「粗忽長屋」という話がある。

同じ長屋に住む熊公と八公は揃いも揃って粗忽者。
そんなある日、八公は行き倒れている死体を見て、熊公が死んだものだと勘違いしてしまう。
それを八公に聞いた熊公もその死体が自分だと勘違いしてしまい……。といったあらすじ。

落語界に数ある「そこつ物」の中でもかなり逝っちゃっている部類のこの「粗忽長屋」

この話自体、非常に笑える話なのだが、それをさらに「自分とは何か」を問う哲学にまで昇華させてくれたのが。

本日紹介する、中公文庫より出版されている

故・立川談志の「新釈落語咄」である。


新釈落語咄 (中公文庫)新釈落語咄 (中公文庫)
(1999/05)
立川 談志

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氏が亡くなったのは、2011年11月。まだ記憶に新しいと思う。

落語の名人としてはもちろん有名だが、家元の著書も非常に優れており、落語ファンならずとも一読の価値があると思う。

彼は多くの著作で、落語についてある持論を展開している。

それは「落語とは人間の業の肯定である」というものだ。

この言葉を、僕などが安易に語るのはおこがましいことだが

「人間はそもそも不完全なもので、完璧になることは永遠にない。ならば、せめて落語という世界の中だけでもその不完全さを笑ってやろう」

僕なりにはこのように解釈している。

この言葉に触れた瞬間、落語を全く知らない人々の落語に対する認識は。
かつての僕同様に、大きく変化するのではないだろうか。

すなわち、落語の本質は「人間に対する肯定」にあるのだと。

さて、以上を踏まえて。
「新釈落語咄」に咄を戻すが。

談志は本著で、現代の文化と落語の古い解釈に齟齬が生じていることを指摘しており。
その誤差を修正すべく、かつての太宰治のお伽草子のように家元なりの解釈を加え、落語20編を焼きなおしした。

そして、冒頭に書いた「粗忽長屋」こそが、この本で最初に新釈された咄だ。

談志はその中で、「粗忽長屋」を絡めながら、客観がいかに不安定なもので、その多くが結局、主観に過ぎないということを説いた。

また、主観というものすら、曖昧であり自身のアイデンティティなど簡単に揺らいでしまうことを以下のように綴っている。


「俺は死んだんだ」と信じた熊は己の死体に向かって泣く。
「泣いているよ、あの人は。泣いたって仕様がないよ」に、
「死んだものでなきゃあ、この悲しさは判るもんか」といい、己の死骸を抱いてし
ばし……。
で、いう落(さ)げの文句(フレーズ)の物凄さは、
「ウーン……。よくわからなくなったぞォ」
「何が判らねぇんだ」の八公に、
「いえね、抱かれているのは確かに俺だが、抱かれている俺は一体誰だろう?」
文句なしの名作である、と談(わた)志(し)は信じている。落語こそ、本当の人間の業というか、常識という一般基準をはるかに超えたところで物事を見ている。
(p.24.3行~)



談志氏の新釈を読んでから、改めて「粗忽長屋」を読んでみると。
以前と全く違った感触がする。まるで、デヴィッドリンチの映画のような。終始どこか落ち着かないような。何かに脅かされているような。

話がなんだか変な方向に行ってしまったが、この本をすすめる上で自信を持って言えるのは


「読んだら間違いなく、新しい視点を得られる」


ということだ。

日本の古典文化、文学を通じて新しい自分を考え、肯定してみるのはいかがだろうか。

評価は★★★★☆

以上、金岡でした。

次は、飯田先輩です。

テーマ : 本の紹介
ジャンル : 学問・文化・芸術

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小門ゼミブックリレー

Author:小門ゼミブックリレー
学生団体Small Gatesは法政大学キャリアデザイン学部小門ゼミ生の有志で経営しています。
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【法政大学キャリアデザイン学部小門ゼミ】
普段キャリアデザイン学を軸に経営・経済・文化・教育を学んでいます。
「entrepreneurship」・「citizenship」を合言葉に
熱く濃く明るく青く、double majorを目指し日々学習してます。

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